妻が自営業の場合、社会保険の扶養はどうなる?

起業して自営業になった女性から、こんなご相談をよくいただきます。

「私、自営業なんですけど、夫の扶養に入っていていいんでしょうか?」

実はこの“扶養”の条件、夫が加入している健康保険の種類によって違うんです。


協会けんぽに加入している場合

夫が「協会けんぽ(全国健康保険協会)」に加入している場合、
あなたの“所得”が130万円を超える見込みになると、扶養から外れてしまいます。

ここでいう「所得」とは…

🟡 売上 − 必要経費

なのですが、注意したいのは「どこまでが必要経費と認められるか」が
税金の計算とは少し違うという点です。

たとえば、「自宅家賃の一部」「通信費」などを経費にしていても、
協会けんぽでは認められないことがあります。

💡健康保険上の“必要経費”は、売上を上げるのに最低限必要なものだけ!

そのため、「これは経費になるの?」と迷うものがあるときは、
事前に協会けんぽへ問い合わせて確認しておくのがおすすめです。


全国土木建築国民健康保険に加入している場合

夫が「全国土木建築国民健康保険(建設業の方が多く加入)」に入っている場合は、
妻が自営業でも、収入に関係なく扶養に入れるケースがあります。

つまり、所得がいくらあっても扶養OKということもあるのです。

※ただし、自治体や組合ごとにルールが違う場合があるので、念のため確認を!


妻が自営業だと、扶養に入れない健康保険もある!

実際には、「妻が自営業なら原則扶養に入れません」という保険組合もあります。

保険証の発行元(=健康保険の組合名)によって判断が違うので、
必ず、夫が加入している健康保険に直接確認してみましょう。


扶養から外れたら、どのくらい負担が増えるの?

もし扶養から外れてしまった場合、
妻は「国民健康保険」と「国民年金」に自分で加入する必要があります。

じゃあ、実際どれくらいの負担になるのか?
【福岡市の場合】でシミュレーションしてみましょう👇


📊例)売上から必要経費を引いた「所得」が140万円の場合

  • 住民税の基礎控除(43万円)を引くと、総所得は97万円
  • この場合の保険料は…
費目年間負担額
国民健康保険料約126,700円
国民年金保険料約210,120円
合計約336,820円

📌年間で30万円以上の負担増になることもあります。

最後にひとこと

「妻が自営業だけど、扶養ってどうなるの?」という疑問はとても多いです。

実際には、

  • 保険組合によってルールが違う
  • 必要経費の考え方も異なる
  • 所得が少し増えるだけで負担が一気に増えることも

という複雑さがあります。

だからこそ、起業するタイミングや売上が増えてきた時期には、必ず健康保険の確認を!
ちょっとした確認で、ムダな負担を避けられるかもしれませんよ😊

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